京の旅あれこれ【こしあん本舗】
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【植物園の旬の花】   〔Ⅴ〕   超人気のガーデニング」     4月26日     
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Photo mi-ko                 〈植物園北玄関入ってすぐ右側〉

ガーデニングは、造園術・・・庭のトータルコーディネートですね。
ガーデニングの目的は鑑賞だけではありません。
鑑賞するまでの経過・・・土をいじり、植物を育て、自然と触れ合うことにも魅力があります。
人間の特性でしょうか。
こうして自然に触れる行為というものは、不思議と心が安らぐものなのです。

HP ガーデニングの楽しさより抜粋



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My photo                     〈北玄関から園内を〉 


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                    チューリップの花ことば ・・・博愛・思いやり


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植物園パンフより

「植物園の旬の花」は この  で終わります。
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by koshian-honpo | 2013-04-30 19:52
【植物園の旬の花】    〔Ⅳ〕   「山野草展」         4月26日
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My photo                         〈その1〉


自然のままがいい。あんまり手を加えず、何年もそのままの鉢で育てる。
水さえやれば、ほとんど大丈夫。」と教えてもらいました。
私、ちょっと感動しました・・・

自然のままがいいって言葉になんだか引き込まれます。
山野草の盆栽の魅力はそこなのかなと思います・・・
小さい鉢の中に、自然を作る・・・
即席の自然ではなく、何年も何年も持ち込まれた自然。  考えるとドキドキしますね・・・

グリーンセンター・山野草の魅力より


                            ・・・・・☆・・・・・


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                               〈その2〉

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                               〈その3〉

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                               〈その4〉

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                               〈その5〉

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                               〈その6〉
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by koshian-honpo | 2013-04-29 23:02
【植物園の旬の花】 〔Ⅲ〕   「フクシア」 と 「インカ民族音楽」   4月26日
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My photo                   中南米原産の〈フクシア〉     造花に見えるが本物です!

古代インカでは「女王様の耳飾り」と呼ばれたアンデスの名花です

                       花ことば・・・趣味・暖かい心 など

フクシアはアカバナ科の植物で、原種は中南米からニュージーランドにかけて分布します。
ドイツ人の医者で植物学者の レオンハルト・フックス(L.Fuchs, 1501-65) にちなんで
「フクシア」と名付けられました。
冨士花鳥園topより

  植物園では、温室で栽培されています。

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My photo

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CDjkより                   世界遺産の〈マチュピチュ〉
ペルーなどで、今も歌われているフォルクローレは、遠い昔の哀愁が漂ってきます。
現地の歌手の演奏は何度も聴いていますが。そのなかで特に好きな歌は、
当時の戦いに敗れた悲しい皇帝の様子が甦ってきます。
他には、有名なコンドルは飛んでゆく・花祭りなどありますね。

下記の詩は、スペイン人に捕らえられ処刑された最後の皇帝を歌っています。
                      「インカ皇帝アタウアルパ」
                           ATAHUALLPA
             ・・・悲しげでもの静かにはじまる、民族楽器の音色~古代インカを偲ばせます・・・              
                     
                      威高きインカ皇帝アタウアルパよ
                      反乱する長官アタウアルパよ
                      立ち上がれ。
                      
                      なんじはよみがえり見出すだろう
                      なんじの愛した民が
                      鎖につながれているのを
                      考えることも失ってしまっているのを。
                      
                      立ち上がれ、アタウアルパ
                      永遠の人アタウアルパ
                      立ち上がれ、アタウアルパ
                      永遠の人アタウアルパ。


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CDjkより    昔のケーナチョやモセーニョ                        複篠笛のバンパイプと太鼓のボンボ* 
 現在も、お祭などには昔の質素な民族衣装でこうして演奏されてます。

20数年前、
某楽器店のイベントで、始めて現地の生演奏を聴き大変感動したものです。
心の奥底から何か込み上げて来る、不思議な生命感のような自然の音色が、
その時の心に強く刺さり熱いものを感じました。
CDも購入し、時折今も聴き入っています。生演奏にも何度か出掛けました。

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Photo mi-ko
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by koshian-honpo | 2013-04-28 19:59
【植物園の旬の花】  〔Ⅱ〕   シャクナゲ !         4月26日
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Photo mi-ko                     〈シャクナゲ〉

                          花ことば・・・威厳・荘厳など


京の寺院庭園などの石楠花は、今までに幾度となくみていますが
この園内では種類が多くより楽しめました。

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My photo

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My photo



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Photo mi-ko
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by koshian-honpo | 2013-04-28 15:31
【府立植物園の旬の花】    [Ⅰ]   ピンクのマンサク   4月26日
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                              〈マンサク〉
                          
                       花ことば・・・神秘・ひらめき など


今まで黄色の「マンサク」より知らなかったので、
ピンクの花も素晴らしく綺麗で驚きました。中国が原産らしいですね。

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My photo
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by koshian-honpo | 2013-04-27 13:17
【山吹讃歌 松尾大社】    こじつけ島崎藤村詩抄   4月25日
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My photo                   〈楼門手前の枝垂れ山吹〉

松尾大社は上賀茂・下鴨神社と並び京都最古の神社といわれています。

現在の松尾大社の後方にある
松尾山中頂上近くにある巨岩を信仰の対象とし、
一帯の住民の守護神としたのが神社の起源とされたそうです。

朝鮮から渡来した秦氏族がこの地に移住し、農業や林業を興したが、
大宝元年(701年)に現在の地に社殿を建立し、一族が社家をつとめていたといわれています。
平安遷都以後は皇室鎮護の社となり、現在は酒造の神様となっています。
また七五三詣や初詣などでも賑わっています。


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My photo                     〈山吹と楼門〉


                            

                            「春は来ぬ」
                   *                      *  
               春はきぬ                   春はきぬ 
                    春はきぬ                   春はきぬ
               霞よ雲よゆるぎいで             浅みどりなる新草よ
               氷れる空をあたヽめよ            とほき野面を畫けかし
               春の香おくる春風よ             さきては紅き春花よ
               眠れるきさませ           樹々の梢を染めよかし

もうすぐ初夏に入りますが、 島崎藤村 「春」より抜粋


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My photo                      〈山吹と灯籠〉



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                      ねむれる春ようらわかき
                               かたちをかくすことなかれ
                      たれこめてのみけふの日を
                      なべてのひとのすぐすまに
                               さめての春のすがたこそ
                               また夢のまの風情なれ


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写真本書より

好きな詩
岩波文庫 島崎藤村詩抄   「春」より抜粋
私の誕生日 S38/12/13(18歳)に弟からのプレゼントで愛読。
(本の表紙裏に上記の事が書き残されていました)

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My photo                     〈山吹群生圧巻〉

今丁度神社では「山吹祭」の最中でした。
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by koshian-honpo | 2013-04-25 18:23
【花盗人・はなぬすびと】  じぇじぇじぇっ! 好きな花が?    4月20日
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My photo                〈盗まれずに残った我が家のビオラ〉


        花は見ているだけで心が癒され、気持も優しくしてくれる不思議な魅力があるものです。
                   そして、自分で手間をかけ育てた花はなおさら、
                 美しい花を次々と咲かせたときの嬉しさはひとしおです。



花は、癒し・パワー・元気・優しさ、そして強い生命力を備え、また私達にも与えてくれます、
そして花の生き様を見ていると、私達も日々この地球上で同じく生きていると再認識させられるのです。
反面美しく妖しい姿ほど、それを欲しくなり、盗んででも自分のものにしたくなる、
そんな嫌な面をも気付かされますね!

・・・という前書きで始まりました今回の投稿は、昨年春に我が家のプランターでの花壇の中から
一番好きで綺麗な花が根こそぎ盗まれました。


近所のお宅も何軒か盗られていると聞き、
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                         〈昨年からの立て札!〉
早速、上記のお願い!の立札を立て一年が経った今年の4月20日朝、
私が花に水をやっていたら、なんとプランターの数ヶ所にポカッと穴が空いているのです、
「じぇじぇ!また盗られた」と気が付きました。
今回も、やはり珍しい綺麗な花だけでした。

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                          〈寂しくなったプランター〉
                      
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                          〈汚くなったプランター〉                      

なんと、盗人さんが忘れて行ったと思われる小型懐中電灯が、花の隙間にあり・・・驚き!
家内に話したら、早朝3時頃、トイレの明かりをつけた時に玄関前で何か物音がしたが
新聞配達には早いしと思いながら、あまり気にせず寝入ったらしいです。
たぶん盗人は突然の明かりに驚き、電灯を放置したまま逃げたようです。
気持ち悪いやら、悔しいやら、ガックリしました。
それにしても、
真夜中に花を盗む人がいるのだと思うと情けなくなりました。

自分で注意するしかなく、早速電器店でセンサーライトを買って取り付けました。
プラス「防犯カメラ設置」の張り紙をしようかと思っています。
昨年には 取らないで!という札を立てたが、それでも盗む人はまた盗りますね。
これは愉快犯的な一種の病気ですね!
昼間に、またうろつき、一人ほくそえんでいると思うと酷く腹が立ってきます。
ほんまに困ったものですわ。


                           ・・・・・☆・・・・・


                          
                            「牛盗人」
                            (うしぬすびと)                     
                        狂言には珍しい人情劇です。


狂言「牛盗人」は、独特の滑稽さと情が深く気持を和らげてくれますので、
                   ごく簡単に紹介させていただきます(内容に間違いがあればお許しを)。  


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ヤフーHPより


鳥羽離宮から牛が盗まれ、盗人の情報をもたらしたものには褒美を与えると奉行が高札を揚げる。
~~~
盗人を知っていると言って子供が奉行を訪ね、
~~~

犯人を捕らえてみると、なんと申し出た子供の父親だった。
子供は奉行に高札にあるように褒美をくれと言う、
奉行は何でも好きなものをあたえると! 子供は父の命を自分にくれと言う
親を救いたいと思う子の親孝行に、奉行がその親子が不憫に思えて泣く。
そして、子の願いどおり縄をほどき開放するという話

この狂言は、何か心に響き訴えるものがあり、素晴らしい伝統芸能です。
嫌な思いをしましたので、以上の物語をここに記しました。

同じ「花盗人」という狂言もありますが、風流といわれ許される範囲の物語です。

今回の我が家の「花盗人」は非常に気味悪く卑怯な手口です、
京都にこんな花盗人がいるのが誠に恥ずかしく残念に思います。
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by koshian-honpo | 2013-04-23 16:51
【狩野山楽・山雪展】   圧巻の大迫力障壁画    京都国立博物館 4月19日
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My photo                             〈正面入口〉
                   
金曜日のせいか思っていたより拝観者は少なく、ゆったりきめ細かく楽しめました。


桃山から江戸への過渡期。
それは豊臣につくか徳川につくかで後の人生が大きく変わる時代。
武将だけでなく、狩野派の絵師たちもまたその渦中で運命を大きく左右されました。

狩野山楽は秀吉に画才を見出され、永徳の画風を強く受け継いだ有力弟子。
永徳亡き後、豊臣家の画事を引き受けたことが災いし、豊臣残党狩りの標的に!
幸い二代目将軍秀忠らの尽力で命をつなぎ、京の地で再び描き続け、濃厚な画風を
後継である娘婿の山雪に伝えました。
波乱の時代に生き、窮地に追いやられながらも、絵師としての気概を持って運命に立ち向かった二人の魅力あふれる絵画世界を充分堪能しました。
少しですが、パンフや絵葉書からご紹介いたします。

以上 主にパンフより

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狩野派HPより

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パンフより              重要文化財 「龍虎図屏風」 (左隻)狩野山楽筆


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                             「紅梅図襖」
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パンフより                                「牡丹図襖」
重要文化財 2帖ともに山楽筆



                             ・・・・・☆・・・・・

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絵葉書より                                「朝顔図襖」
重要文化財 狩野山雪/山楽筆

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絵葉書より                        朝顔図アップ


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絵葉書より                「冨士三保松原図屏風」 狩野山雪筆



以上
桃山から江戸への過渡期の渦中で運命を左右された絵師初代山楽二代山雪(山楽の娘婿)の
生涯と画業を辿る初の大回顧展の中から少しだけ紹介させていただきました。
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by koshian-honpo | 2013-04-22 16:40
【利休にたずねよ】に秘められた京を愉しむ   最終章     〈24〉
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My picture         〈利休切腹直後、宗恩が割った緑釉の香合〉 好き勝手画



2009年140回 直木賞受賞作
「利休にたずねよ」

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                             〈本書の帯文〉  
著者 京都市在住 山本兼一 

24 「夢のあとさき」    宗恩  415頁
利休切腹の日 ―
天正19年(1591)2月28日  
京   聚樂第    利休屋敷

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東本願寺HPより              〈聚樂第〉現在の飛雲閣〉


利休屋敷の仏間で、宗恩は、両手で顔を覆ってすわっていた。さっきから、
ずっと経をあげていた。もう声が出なくなった。
夜明け前から、嵐のごとく降りしきっていた雨は、小降りになったらしい。雨音が聞こえない。
広い屋敷の中には、まるで人の気配がない。
何人かの手伝いや女子衆がいるが、みんな域をひそめているのだ。
仏間には、宗恩のほかに娘のかめがいる。
利休がよそで生ませた子で、いまは、宗恩の連れ子少庵の妻である。
利休はいつも目をかけていた。やさしい娘で、宗恩にも気をつかってくれている。
~~~


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My picture                〈利休好みの赤楽茶碗〉好き勝手画


夫は、かめに狂歌を残した。

利休めは とかく果報のものぞかし
           管丞相に なるとおもへハ


菅原道真公になぞられて、我が身の境遇を笑いとばしているのである。
そんな夫だっただけに、かめの強さも不思議ではない。
~~~

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My photo                 〈嵯峨厭離庵内〉本文とは無関係


茶道口の前にすわり、声をかけた。
「失礼いたします」
狭い座敷に、三人の侍が立っていた。
夫は、血の海に突っ伏している。
横顔が、苦悶にゆがんでいる。苦しかったのだろう。悔しかったのだろう。
宗恩は、純白の小袖を夫にかけた。たちまち血を吸って、白い絹に鮮血の赤がひろがった。
床に、木槿の枝と、緑釉の香合が置いてある。宗恩は、香合を手に取った。
「それは・・・」
検視の侍が、なにか言いかけた。
「なんでございましょうか」
相恩は、まっすぐに侍をみすえた。侍はことばを呑みこんだ。
「いや・・・・・」
「見届けの御役目、ごくろうさまでございました」
茶道口にもどり、両手をついて頭を下げた。
悲しさを悲しみだと感じないほどこころが震えていた。なにが起こったのか、よくわからなくなっていた。
なぜ、夫は腹を切らなければならなかったのか。なぜ、死を賜らなければならなかったのか。
はっきりと分っていることがたったひとつある。
― くちおしい。

廊下に出ると、露地の縁にちかいところに、手水鉢と夫好みの石灯籠がある。
宗恩は、手を高く上げ、にぎっていた緑釉の香合を勢いよく投げつけた
香合は石灯籠に当たり、音を立てて粉々に砕けた。
雲のあいまに青空がのぞき、春の陽射しがきらめいている。
苔に散った香合の破片にも、明るい光が燦めいている。

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My photo                〈利休が大切にしていた石灯籠〉
              ・・・後に細川三斎にわたり、大徳寺塔頭の高桐院で
                               現在三斉とガラシャの墓石となっている・・・

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My picture                   〈香合の欠けた一部〉


          これで「利休にたずねよ」に秘められた京を愉しむ を終了します。
          長い間ありがとうございました。
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by koshian-honpo | 2013-04-16 21:26
【利休にたずねよ】に秘められた京を愉しむ      〈23〉
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My picture             〈節の位置が命の利休作 茶杓〉  好き勝手画



2009年140回 直木賞受賞作
「利休にたずねよ」    
著者 京都市在住 山本兼一

23 「恋」    千与四郎  368頁
与四郎(のちの利休)19歳 ―
天文9年(1540)6月某日  
和州 堺 武野屋敷  4畳半


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                              〈浜の松原〉


静かな夜であった。与四郎は、じぶんの四畳半の座敷で、茶杓を削っていた。
茶杓は、節の位置がいちばんむずかしい。節がなければ、すっきりしすぎて物足りない。
櫂先にちかければ邪魔だし、下端の切止にちかすぎてはあざとく見える。与四郎は試行錯誤をかさねて、大胆にも、これぞ、という場所を見つけだしている。
~~~



厚い扉が小さく開いている。
覗くと、長持ちから人を取り出すところだった。見世の男が二人して抱えている。
死体かと思ったが、床に置かれると、片膝を立ててすわった。生きている―。
手を縛られ、目隠しと猿ぐつわをされている。たばねた黒髪が長い。
―女だ。
裾の長く広がった着物は、あでやかな韓紅花と白。日本のものでない。
町で高麗人が着ているのを見たことがある。
父の与兵衛が、女の目隠しをはずした。
おもわず身を乗りだしたほど優美な女であった。
すこし窶れているが、顔のつくりがいたって端整だ。目も鼻も口も耳も頬も顎も、
それぞれがきわめて上品なうえに、美しく調和している。
与四郎がさらに驚いたのは、女の瞳が、あまりにも黒く冴え冴えとしていたからだ。
女が、こちらを見ている。
目と目が合った。
そのとたん、与四郎は、凍りついた。
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My picture           〈本文によくでてくる白い木槿の花〉 好き勝手画


―恋か・・・。
まさか、と、与四郎は首を振った。
さんざんな放蕩をへた与四郎である。女などは、くだらぬ生き物だと思っている。
名物の茶の湯道具を恋い慕って夢に見ることはあっても、もはや、女ごときに恋い焦がれるとは、思っていなかった。
しかし、与四郎の脳裏で、しだいにあの女が場所をしめるようになっているのはまちがいない。
食事を運んだとき、土蔵の入り口から女をしっかり見つめてたずねた。
「コリョエ トラカゴ シッポヨ?」
高麗へ帰りたいか、とたずねた。
「トラカゴシッポヨ」
優雅に落ち着き払った顔で、女は帰りたい、とうなずいた。
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―助けよう。
はっきりとそう腹を決めたのは、女が来て五日目だった。
たとえ武野だろうが、三好だろうが、あんな優雅に美しい女を、売り買いしてよいはずがない。
連れて逃がせるだけの銀を、与四郎は貯えて持っている。
舟に乗って、西に連れて行こう。まず博多を目ざせばよい。
そう腹に決めて、湊で船を探した。
筑紫の船がいた。船頭に、乗せてもらうように交渉した。
船頭は、与四郎を色街で見かけたことがあるといった。派手な遊び方を見られていたらしい。
「おまえ、魚屋のせがれだろう。どうした。遊びが過ぎて堺にいられなくなったのか」
「こんなくだらない町に飽き飽きしただけだ。遠くに行きたくなった」
「あさっての夜明けに船を出す、おまえひとりでいいんだな」
「いや、女を連れて行く」
髭面の船頭が口もとをゆがめて笑った。
「色男なら、銀は先払いだ」
安くない銀を、与四郎は船頭にわたした。
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樂美術館 パンフより           〈本阿弥光悦作 白樂茶碗〉



「コリョエ トマンハジャ」
高麗に逃げましょう―。そうつぶやいた。
女子衆を縛りあげて、猿ぐつわをかませた。これで、後で叱責されずにすむ。
月明かりの庭に出ると、女が木槿の花を見つけて止まった。
「ムグンファ」
つぶやいて、一輪手折った。
白い花も、女も、凛と美しかった。
寝静まった見世のはしり土間を通り、表のくぐり戸から外に出た。女の手をひいて、
足早に町を歩いた。
辻々で警戒して身を隠しつつ、湊に行った。
二日前、筑紫の船があったところに、船はなかった。
与四郎は愕然とした。
千石も積めそうないちばん大きな船だったので、見まちがうはずはない。
沖に碇泊しているのかと眼を凝らしたが、船影は見あたらない。あっちに行き、こっちでうろたえた。
船を探すうちに、夜が白んできた。湊が明るくなってきた。
起きだしたべつの船でたずねると、筑紫の船は、昨日の朝、出帆したという。
―騙されたのだ・・・。
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女が脱いだ高麗の服もいっしょに、荷造りしようとすると、きちんと畳んだ上に、
小さな壷が置いてある。緑釉のうつくしい小壺だ。
―毒か。
ぎょっとしたのは、与四郎が毒を用意していたからだろう。
女は、小壺を手に取り、小さな蓋を取って、与四郎の花にかざした。
甘くやさしい香りが、与四郎の鼻孔を満たした。
「白檀か・・・」
女は、いたずらっぽく微笑むと、小壺を白い絹布に包み、小袖の胸もとに大切にしまった。
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与四郎は、なんとか頭をしぼって文を考えた。筆をとって、懐紙に書いた。

汝欲成蛮王奴婢乎   汝、蛮王の奴婢と成らんと欲するか

蛮族の王の奴婢となりたいか、と、訊いたつもりである。
「ご覧いただきたい」
声をかけて、懐紙をさしだした。読んだ女が、すぐに首をふった。
こんどは、こう書いた。

難以帰国   以って国に帰るは難し
汝欲生乎   汝生きんと欲するか
欲死乎     死せんと欲するか

女は動かない。驚いているのでもない。生を欲するか、死を欲するかを問われて、
わが生の意味を考えているかのごとくである。
女が筆を請うた。
わたすと、こう書いた。

槿花一日   きんかいちじつ
今朝の白居易だ、潔さに、与四郎は頭をさげた。
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茶花HPより                   〈真っ白な木槿の花〉


与四郎は、風炉の前ににじり寄ると、袱紗を手に釜の蓋をつかんだ。
そのまま床前に進み、左手で伊賀焼きの花入を押さえると、右に持った蓋をふり上げた。
なんのためらいもなくそのまま思い切りよく花入に打ち下ろした。
耳付の片方の耳が、欠けて落ちた。
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My picture             〈耳が欠けた伊賀焼花入れ〉 好き勝手画

「いかがでございましょう」
紹鷗が眼を大きく見開いてうなった。
「これは・・・、まことに・・・」
「侘び寂びとして麁相なるところにこそ、物数奇があると存じます」
枯れ侘びて、なお欠けたところに美しさはある。完全な美などなんの感興もない。
「そういえば、女の骸には、小指の先がなかったと頭から聞いた。どうしたのだ」
「さて、さようでございますか。わたくしには、こころあたりがございません」
女の小指は、桜色の爪があまりに美しかったゆえに、与四郎が食い千切った。
食い千切って、緑釉の小壺に入れ、いまも懐に納めている。
「しかし、もし、あの場に茶の湯の数寄者がおりましたら、あの女の屍、やはりそのまま
返すことはできますまい」
「・・・・・」
腕をくんだ紹鷗が、いぶかしげな目で、与四郎を見ている。
「たいへんご馳走になりました。新しい趣向の四畳半、堪能させていただきました」
与四郎は、深々と頭を下げた。
庭では、柳の枝が、気持ちよさそうに風にそよいでいる。

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My pictur                 〈利休が大事にしていた香合〉




次は いよいよ最終章 「夢のあとさき」   宗恩 415頁
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by koshian-honpo | 2013-04-15 14:21