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京の旅あれこれ【こしあん本舗】
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【心地よい春のおとずれ】  4    北嵯峨・広沢ノ池       3月6日
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                           くオオイヌノフグリ〉                    
                    ・・・池の畔に咲く!春のおとづれの代表・・・ 



北嵯峨の広沢ノ池は、春の散歩に絶好の場所です、
オオイヌノフグリは、結構咲き始めていましたが、ホトケノザはまだまだでした。
よく見つける「つくし」もまだでした。



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                             〈広沢池〉
1969年に古都保存法の歴史的風土特別保存地区に指定されている。
池の西側には池へ突き出るような形の小さな島があり、観音島と呼ばれ、橋が架けられている。
島の内部には石像の千手観音が祭られ、先端には弁天堂もある。
Wikipediaより 


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                         〈池の築造千年記念碑〉

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                         〈十一面千手観音石像〉

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                      〈池に突き出ているところの弁天堂〉
                    ・・・時代劇映画・ドラマによくでる絵です・・・
My photo
by koshian-honpo | 2013-03-11 10:16
【利休にたずねよ】に秘められた京を愉しむ      〈13〉
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                          〈茶室に活けたい 椿一輪〉
My photo 3月7日 〈蚕の社境内〉
                            
                                                         

2009年140回 直木賞受賞作
「利休にたずねよ」    
著者 京都市在住 山本兼一

13 「西ヲ東ト」  山上宗二  203頁
利休切腹の前年 ―
天正18年(1590)4月11日  朝
箱根 湯本  早雲寺  


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ヤフートラベルより                   〈小田原城〉


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(1544-1590) 安土桃山時代の茶人、堺の人、千利休の高弟、秀吉の怒りを買い惨殺された。
ヤフートラベルより                


 
 
 ― 人というものは・・・・。
山上宗二は、小田原城の櫓から、銀色にきらめく海を眺めてつくづく思った。
ほんとうのことは、口にしてはならぬものだ。真実を告げたら、嫌われる。
まことを話したら殺されかねない―。
小田原の海には、あまたの軍船が浮かんでいる。城は、まもなく秀吉の大軍に囲まれるであろう。ひたひたと20万の軍勢が押し寄せている。北条五代の天地が揺れている。
「秀吉は湯本の早雲寺を本陣としたそうにございますな」
櫓の一室に台子をしつらえ、茶の湯のしたくをしていた同朋衆が、宗二に話しかけた。
「そのようだな」
宗二はうわの空でこたえた。
~~~


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                              〈蛸壺〉


かって、宗二は堺で薩摩屋という大きな店を営んでいた。
店と家屋敷は秀吉に召し上げられた。
「摂津、河内、和泉の三国に立ち入るべからず」
そう言いわたされた宗二は、以来、旅にさすらっている。

放逐された日のことは、はっきり覚えている。
大阪城内の三畳の席であった。
まだ石垣も天守も庭も普請中で、石山の上の茶室は、みょうに閑寂に見えた。
それでも、青空が気持ちよい朝の会だった。
亭主の利休が、茶碗のつぎに、蛸壺を持ってあらわれた。
それを見て、秀吉が眉をひそめた。
「たこつぼとは、また・・・・・」
無理もない。漁師が海でつかう蛸壺を、利休はそのまま水の翻として持ちだしたのだ。
赤茶色の素焼きの壺には、白いふじつぼがついている。
次客としてつらなっていた宗二は、秀吉のことばを受けて、つい、つぶやいてしまった。
「あの興が、おわかりませぬか」
けっして、非難したわけではない。宗二は、そのとき、蛸壺を翻につかう利休の創意に、
猛烈に心を揺さぶられていたのだ。
その興趣を理解せぬ天下人に、ただ無心に問いかけたにすぎなかった。
それが、秀吉の逆鱗にふれて、摂河泉三国から追い出されたのである。
~~~



― ほんとうのことを口にしてはならぬ
そう自分を戒めた。
なにを感じていても、思っていてもよいのだ。それを口にせねばよいだけのこと―。
そう思い直して、秀吉に詫びを入れ、墨俣での茶会に招いてもらった。
秀吉の機嫌をなんとか取り結び、いったんは大阪に帰ることができた。

―しかし・・・・・。
と、宗二は思い出して首をふった。どうにも、自分は秀吉と相性が悪すぎる。

ふたたび茶の席で、思ったまま口にしてしまった。
秀吉が自慢げに見せた茶壷に、感じたままの感想を口にしたのである。

「土はよろしいが、形が悪うございますな」
秀吉はそのひとことにへそを曲げ、宗二はまたもや追放されてしまった。
~~~

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                               〈釣瓶〉
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                               〈鉈籠〉

風炉のわきにおいてあるのは、釣瓶である。
井戸で水をくむ釣瓶に白木の蓋をつけて、そのまま水指としてつかっている。
「それにいたしましても・・・」
宗二が口をひらいた。
「なんだね」
「お師匠さまの茶の湯は、まことに強引ですな」
「わしの茶が、強引か・・・」
「はい。型破りで天衣無縫。なんの屈託もなく、樵の鉈籠や、釣瓶をつかっておられます。
ただの雑器を唐物名物なみにあつかうのは、いってみれば、
山を谷、西を東といいくるめておられるのと同じ。
自由奔放で風趣に富むこと限りないのですが、お師匠様ほどの名人なればこそ通用いたします。
凡人がつかえば、それはただの鉈籠と釣瓶にすぎず、とてものこと、侘び道具にはなりません」
思ったままのことを口にして、宗二は気持ちがよかった。
師匠なら、これくらいは失礼にあたるまい。
利休が、両手で顔をぬぐった。
「まったく、おまえの口はあいかわらずだな。歯に衣は着せられぬらしい。それで身を滅ぼしたというのに、
いささかも懲りておらぬ」
~~~


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茶道HPより                      〈井戸茶碗〉



宗二は、懐から、仕覆を取り出してひろげた。なかは、端の反った井戸茶碗である。
少し赤みかかった黄土色が、侘びていながら艶やかな印象をかもしだしている。
秀吉が、その茶碗を手に取って眺めた。黙って見つめている。
やがて、薄いくちびるを開いた。
「つまらぬ茶碗じゃな」
乱暴に置いたので、茶碗が転がった。
「なにをなさいます」
宗二はあわてて手をのばし、茶碗をつかんだ。
「さような下卑たちゃわん、わしは好かぬ。割ってから金で接がせよう。
おもしろい茶碗になるぞ」

「くだらん」
宗二が吐きすてるようにいった。
「こらッ」
利休は大声で宗二を叱った。
「こともあろうに、関白殿下に向かって、なんという無礼。さがれ、とっととさがれ」
立ち上がった利休が、宗二の襟首をつかんだ。そのまま茶道口に引きずった。
「待て」
冷やかにひびいたのは、秀吉の声だ。
「さがることは相成らん。庭に引きずり出せ。おい、こいつを庭に連れ出して、耳を削げ」
秀吉の大声が響きわたると、たいまち武者たちがあらわれて、宗二を庭に引きずり降ろした。
「お許し下さい。お許し下さい。どうか、お許し下さい」
平伏したのは、利休であった。
「お師匠さま。いかに天下人といえで、わが茶の好みを愚弄されて、謝る必要はありますまい。
この宗二、そこまで人に阿らぬ。やるならやれ。みごとに散って見せよう」
立ち上がると、すぐに取り押さえられた。秀吉の命令そのままに、耳を削がれ、鼻を削がれた

血にまみれた宗二は、呻きもせず、秀吉をにらみつけていた。痛みなど感じなかった。
怒りと口惜しさがないまぜになって滾っている。
「お許し下さい。憐れな命ひとつ、お慈悲にてお許しください」
利休が、地に頭をすりつけて秀吉に懇願した。
宗二は、意地でも謝るつもりはない。秀吉としばらくにらみ合った。
「首を刎ねよ」
秀吉がつぶやくと、宗二の頭上で白刃がひるがえった。

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                         箱根湯本〈早雲寺・本堂〉
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暁庵茶事HPより             早雲寺内の〈山上宗二・追善碑〉



次は「三毒の焔」   古渓宗陳 219頁
by koshian-honpo | 2013-03-08 20:09
【利休にたずねよ】に秘められた京を愉しむ      〈12〉
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My picture                  好き勝手絵〈黄金天目茶碗〉

2009年140回 直木賞受賞作
「利休にたずねよ」    
著者 京都市在住 山本兼一

12   野菊   秀吉  187頁
利休切腹の前年 ―
天正18年(1590) 9月23日  朝
京   大徳寺門前利休屋敷  四畳半

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HPより                          〈摘星楼〉
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My photo                   〈現在の東山連峰一部〉
                    ・・・右は大文字山・手前は低い吉田山・・・


三層の摘星楼からは、気持ちよく澄んだ青空が手にふれられるほどちかい。
白い筋雲が、秋の深まりを感じさせる。
― あの男に、なんとか一泡ふかせてやりたいもの。
ほろほろとした陽射しのなかの東山の峰のつらなりと京の町並みを眺めながら、
秀吉は利休のことを考えていた。
~~~



開けはなった窓から見える秋空の光が、淡くかそけくなった。
窓から吹き入る風がやわらかくここちよい
秀吉は、立ち上がって、黄金の台子皆具の前にすわると、柄杓をとって、
釜の湯を黄金の天目茶碗にそそいだ。
その碗を、黄金の天目台にのせ、官兵衛の前に置いてやった。
替え茶碗に湯をくんで、秀吉はしばらく両手でぬくもりを楽しんでから、
じぶんでもそのまま飲んだ。


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My picture                 好き勝手画〈黄金茶釜〉


黄金の釜で沸かすと、湯もかくべつの味わいだ」
いわれて、官兵衛が白湯を口にふくんだ。舌で味わっている。
官兵衛が、うすく笑った。
「湯は湯でございます。鉄と金の値がちがうほどに味はちがいませぬ」
秀吉はうなずいた。なんの異論もない。
「のう、官兵衛。人とは、おかしなものだな。その釜で茶を点ててやると、天界の甘露だというてありがたがる者もおるぞ」
官兵衛がまた湯を口にふくんだ。白湯を味わっている。
「それは、黄金の釜というより、関白殿下から直々に茶をふるまわれたのをよろこんでいるのでございましょう」
「かもしれぬ」


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逸翁美術館肖像サイトより            〈秀吉の肖像画〉



秀吉は、白湯を飲みほした。鋳物の釜と黄金の釜では、味がまったくちがうと思うこともあれば、
ちがわぬと思うこともある。それは、そのときの気分しだいだ。
今日はなんのちがいも感じない。
「おぬしは、あの男を、どう見るか」
茶碗を置いて、秀吉は、また羽織の紐をいじった。
「さて・・・・・、利休居士のことでございますか」
さすがに察しのよい軍師である。
~~~



秀吉はうなずいて、官兵衛の茶碗に湯をそそいでさしだした。
「そのほうの知恵が借りたい」
「唐入りのことでございましょうか」
「なんの、利休のことだ」
くっくっと、官兵衛が笑った。
「利休居士をなんといたしますか」
「あの男、ちくと小癪でな。なんとか泡を吹かせてやりたいのだが、どうにもよい知恵がない。
座興だ。 頭をひねってくれ」
白湯を飲んだ官兵衛が、まだ笑っている。
「なにがおかしい」
「いえ、上様が、利休居士にご執心ということは、とりもなおさず、天下のこと、
みな治まったゆえと存じましたゆえ」
~~~


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戦国ガイドより                〈軍師・黒田官兵衛肖像画〉



「明日の朝、茶の席をしたくさせておる。おまえの知恵で、利休めに泡を吹かせてやれ
「さようでございますな・・・・・」
花がよいぞ。花を使え。花のことで、あの男を困らせてやれ」
~~~

翌朝、聚楽第四畳半席の待合に、官兵衛と堺の針屋宗和、天王寺屋宗凡があらわれた。
三人とも小田原に参陣した褒美としての招きである。
秀吉は、小姓に官兵衛だけを呼び出させて、耳元にささやいた。
「わしは外から覗いておるゆえにな」
最初からそのつもりだった。そのほうが、嘲笑の愉悦が増す。存分に笑ってやることができる。
~~~


官兵衛の目が、床畳の白天目に落ちた。じっと見ている。
小袖のふところから懐紙を出すと、はさんであった野菊の花を一輪
天目茶碗のなかにいれた。茶碗のなかの茶入の前に、すっとおさまったのが、秀吉にも見える。
― そうだ。それでいい。
のぞき見ている秀吉は、はなはだ愉快になった。利休が手前の途中で、
あの野菊のあつかいに困るだろうと思えば、
それだけでもう笑いがこみ上げてくる。
~~~
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My picture                    〈淡紫野菊愚作絵〉


利休が、膝を躙って、床の前にすすんだ。
― さて、あやつめ、どうするか。
秀吉は、障子窓のすきまに顔をつけた。利休の背中にも、肩にも、手のうごきにも逡巡はない。
―なにも迷わぬのか。
~~~


秀吉は、利休を笑ってやろうとした自分のたくらみが、
野菊の花と同じように凋れてしまったのを感じた。
なんのことはない、むしろ、笑われているのは自分であった

秀吉は、勝手口から茶席に入った。
「いかがであったか、利休の茶は」
三人の客が平伏し、正客が口を開いた。
「思いもかけず、ゆるりと過ごさせていただきました。いや、
この官兵衛、茶の湯嫌いを通してまいりましたが、なかなか奥が深いものと感心することしきり。
臨機応変の茶は、軍略の練磨にも通じましょう。
利休殿に手ほどきをしていただこうかと存じまする」

ともに戦塵をくぐり抜けた軍師のことばに、秀吉は、さらに敗北感をつよめた


以上本文より



次は「西ヲ東ト」   山上宗二 203頁








                            
by koshian-honpo | 2013-03-02 14:02